「白紙も模様のうちなれば心にてふさぐべし。」
『本朝画法大全』土佐光起(江戸時代)
この言葉の意味を理解するのはなかなかに難しいことなのではあるが、明治になって岡倉天心が「茶の本」の中で次のように書いている。
「故意に何かを仕立てずにおいて、想像のはたらきでこれを完成させる。」
作家は作品を通して自らの感情や思想を表現するが、語りすぎると面白くない。"何かありそうだ"と鑑賞者が近づいてくる行為、作品の声に耳を澄ます行為が作品の「幅」を広げるのだと思う。演劇は役者と観客が一体となって成立するものだとよく聞くが、絵画や彫刻も同じなんだろうと思っている。
最近は"余白"について考えることが多いのだが、まずは自らの生活から無駄を省いて余白を作ることからはじめなければならないのかもしれない。
↓は藤田嗣治の白を意識した作品。
「柘榴」(F10号 )2020年
アトリエGの絵画空間/後藤晋
洋画家・後藤晋がとりとめもなく絵のことをお話しするブログです。
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