大原美術館・卒寿

日本で最初の私立西洋美術館として昭和5年、「大原美術館」が岡山県倉敷市に誕生した。地元の実業家・大原孫三郎が画家・児島虎次郎に命じて渡欧、現地で作品を収集させた。虎次郎は自身が画家であると同時に相当な目利きであったため、大原美術館の初期収集品はどれも名品ばかりである。なかでもエルグレコの「受胎告知は」秀逸で、もはやこの作品が大原にあること自体が"奇跡"だと言われている。事実、虎次郎がたまたまパリの画廊で売りに出ているところに"出会した"ようで、始めから意図して買い求めに行ったものではない。偶然の産物なのだ。それが今やモネの「睡蓮」と並び大原の"看板作品"になっている。そんな大原美術館も昨年創立90周年を迎えた。生憎の社会情勢で記念式典などは延期となってしまったが、地元に住む者として、今年こそはみんなで90周年・卒寿を祝いたいと思っている。
↓エルグレコ「受胎告知」

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アトリエGの絵画空間/後藤晋

洋画家・後藤晋がとりとめもなく絵のことをお話しするブログです。