かつて長谷川等伯は"余白を描きたいから仕方なく松を描いた"と語ったという話を聞いたことがある。前回の「白紙も模様のうちなれば心にてふさぐべし」『本朝画報大全』土佐光起の言葉と合わせて考えてみると"モチーフ"とは一体何を指すのかということについて"深く"考えさせられる。↓写真は「柘榴」F30号(2019年)。"柘榴"も"大皿"も友人からの頂き物。たしかにどちらも気に入って、描きたいから描いたのであるが"画面を支配"しているのは"白の背景"。余白と言ってもいいものが"メイン"になっている。明らかに長谷川等伯や土佐光起の言葉を意識した作品である。背景の白の微妙な変化はレオナール藤田を参考にしている。私の心を鷲掴みにする「余白の美」についての研究はまだまだ始まったばかりと言えそうだ。
アトリエGの絵画空間/後藤晋
洋画家・後藤晋がとりとめもなく絵のことをお話しするブログです。
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